近視の抑制治療について
小児の近視が増加しています
近年、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの使用が日常化し、「近くを見る」時間が増えたことにより、小児期からの近視が急増しています。
特に小学生〜中学生の間は、身体と同じように眼も成長しやすく、近視が進みやすい時期です。
「1年ごとに眼鏡の度数が上がってしまう」「黒板の文字が見えづらい」などのご相談が増えています。
放っておくと『強度近視(−6D以上)』『将来的な眼疾患(網膜剥離、緑内障、黄斑変性など)』
になってしまうケースもあり、リスクを高めてしまう場合があると言われています。
近視進行の抑制に点眼が注目されています
そこで注目されているのが、近視進行を抑制する治療です。
従来は海外輸入品または院内調合品となっており、製品安定が難しい製品でしたが
2025年4月より参天製薬社より販売を開始したことで、当院でも取り扱いを開始します。
臨床研究では、アトロピンという点眼薬を低濃度で使うことにより、
小児の近視進行をゆるやかに抑える効果があることが報告されています。
アトロピン成分を含む「リジュセア点眼液0.025%」は、近視進行抑制を目的に開発された点眼薬で、
「0.025%」という濃度は、副作用が少なく、かつ近視進行を抑える効果が期待できるよう調整されています。
リジュセアミニ0.025% 料金
1日1回/就寝前に点眼します
〇・・・ 1セット 円
〇・・・ 2セット 円
〇・・・ 3セット 円
※公的医療保険が適応されない自由診療です
※医療用医薬品の処方には医師の診察が必要です
※定期的な通院(1ヶ月目安)が可能な方のみ処方となります
※副作用等で治療中止においても返品・返金はいたしかねます
アトロピンの特徴
臨床研究により、リジュセアのような低濃度アトロピン点眼は、
年間の近視進行量を平均30〜60%程度抑制できるという報告もあります。
(効果には個人差があります)
特に、進行の速い学童期に継続して点眼することで、
将来的な強度近視の予防に貢献することが期待されています。
アトロピン点眼はこんな方におすすめ
- 6歳〜15歳程度のお子さま(特に近視が進行しやすい時期)
- 両親が近視で、進行を心配している方
- 毎年メガネの度数が大きく進んでいる
- まだメガネは不要でも、学校検診で視力低下を指摘された
アトロピン点眼の注意点
- ・近視進行抑制予防であり、視力を回復するものではありません
- ・自由診療となり、医療保険適用外です
- ・点眼を忘れず、毎晩継続的に行うことが重要です
- ・点眼開始後も、定期的な視力検査と医師の経過観察が必要です
- ・副作用は少ないとされていますが、「まぶしさ」「ピント調節の違和感」を稀に感じることがあります
近視抑制に役立つ日常生活ポイント
- スマホ・タブレット・ゲームなど「近くを見る時間」を減らす
- 散歩や運動など、屋外で過ごす(毎日2時間以上が目安)
- 家の中の明るさ・姿勢・距離を整える
- 睡眠をしっかりとる(8時間以上が目安)
- 定期的に眼科で視力チェック
- 1日1回就寝前の使用を厳守してください(大量の点眼、回数を増やすとリスクが高まります)
- 薬を保管する際は添付書類の通り遮光袋に入れ、日の当たらない涼しい場所で保管してください
- 使用中にかゆみ、痛み、しみるといった症状がある場合は使用を控え、必ず受診をお願い致します
参考資料
監修
東京科学大学 眼科学分野 教授
大野京子 先生
参天製薬 発行
子どもの近視とは?